ChipChatが日本で体験したこと

Marty Cawthon
ChipChatテクノロジー・グループ代表

OS/2 Asia Pacific歓迎会にて発表
秋期 Comdex
ネバダ州 ラスベガス
1995年11月15日
日本IBM主催

こんばんは!

現在私は、日本語を習っています。最初の部分は英語と日本語でお話してみようと思います。後半は、杉山さんに通訳をお願いしています。

2年前、 初めてこのComdexで、日本の OS/2 Consortium のイベントに 参加しました。そして OS/2 Consortium の方々に お目にかかりました。当社のチップチャットの製品を紹介し、日本の市場tに適当かどうか 検討するためでした。

チップチャット社に もどリ、そのMatchmakerの会で得た情報を、徹底的に実行することにしました。当社の製品「ChipChat Wireless Communicator」は、ポケットベルに メッセージを送信するソフトウエアです. これの日本語版を製作することにしました。

昨年はチップチャット社のメンバーを連れて、再びComdexで、OS/2 Consortiumの方々とお目にかかりました。 どんな方法で、チップチャットの製品を 日本へ紹介するのが一番いいかを OS/2 Consortiumの方々と話し合いました。

お陰様で、今年 日本に「日本チップチャット」を設立しました。日本チップチャット社は、日本における  ChipChat製品の販売、サポート、共同開発をしています。 日本チップチャットのディレクターは井上悦子です。

現在までに 次のようなことを 日本でしてきました。

当社の製品ChipChatを、日本で製作できるほどになりましたことを とてもうれしく 思っています。

今夜は、 ChipChatが日本で経験したことを いくつかお話します。 OS/2 のための製品を、日本の市場で展開されるときに、参考に してください。

"日本で成功するための三原則"と題してお話します。


まず最初のルールは きちんと ていねいにすること。つまり 見た目も感じよく 実際にいい。製品も同じことです。

パンフレットは、日本人にとって 感じがよく、そして製品について、きちんと説明しているものがいい。パッケージは感じよく、文書や指導書も きちんとしているものが いい。

日本では 日付けを 年 月 日の順に書きます。 つまり 1995年11月15日 のように。アメリカでは、月、日、そして年の順にいうことが多い。11月 15日 1995年 です。ヨーロッパでは、日本と全く逆で 日、月 そして年の順です。 15日 11月 1995年です。ソフトは 使用者が使いやすいものがいいし、細かいようですが、日付の形式もそうです。

ご存じかもしれませんが、これらの日付、一日12時間制、24時間制などは、
OS/2の システム設定フォールダの国別情報のアイコンをダブルクリックして、日本向けの設定ができます。

このように 日本とアメリカでは、小さな違いがたくさんあります。大きな違いではありません。けれども大切です。小さな違いに戸惑ってしまうことが、とても多いからです。質のよい製品が好まれるのは当然です。日本では、このことは特に大切です。

きちんとていねいにすること!


二番目のルールはポケットにいつもハンカチを

日本で面白い経験をしました。きれいなトイレで、水の温度を調節し、石鹸で手を洗いましたが、タオルがないのです。
しかたなく ズボンでふきました。アメリカでも ときどきそうしますので、まあ いいかと思いました。私を見た日本人は、変な人だと思ったかもしれませんが、他の人のズボンでふいたわけではありませんので。

次に 東京でIBMのビルで、食事前に、お手洗いに行きました。さっぱりしようと、お湯と石鹸で顔を洗いました。あたりを見回すとタオルがない。ズボンではふけないし。どうしようか! はたと ひらめいて、トイレのなかのトイレットペイパーを
ぐるぐる引っ張り出してその場をしのぎました。ご心配なく、きれいなトイレットペーパーでふきました。

日本人は みんなハンカチを持っていることがわかりました。ハンカチは 便利だと思います。

日本に行くときにはハンカチを持って行った方がいいように、日本市場に製品を展開するときに
考慮が必要なことがあります。

まず、ご存じでしょうが、Double Byte Character Support です。日本語、中国語、韓国語は Single 8 bit Byte ではサポートできません。
Double Byte Character Set が必要です。

ソフトをDouble Byte Character Setにするために、ときには操作が必要ですが、難しくはありません。

メニュー、やヘルプ、文書などを日本語に翻訳も必要です。 IBMはDouble Byte 等についてのセミナーをもっていますし、技術的なことなど、詳しくは
キャサリーン ドナヒューさんに問い合わせて下さい。

英語を理解する日本人は少なくありません。しかし日本人は全て 日本語を理解します。 ちなみに ChipChat製品は 日本語英語を自由に 切り替えることができます。英語を勉強したいと思っている人には 面白いと思います。  日本に行くときは ハンカチを持っていって下さい。ソフトを日本へ持っていくときは、Double Byte Character Set で、文書や画面も日本語がいいと 思います。

ポケットにいつもハンカチを


三番目のルールをお話をする前に、今からちょっとした実験をしたいと思います。恐れ入りますが 日本の方おひとりと、アメリカの方おひとり ご協力お願いします。 日本人は左側に 立って下さい、アメリカ人は右側に立って下さい。

二人は前に出て、聴衆の方へ向いて立つ.

それでは、目を閉じて下さい。そのまま 「目を開けて下さい」 というまで 閉じていて下さい。

今 みなさんは にぎやかな町にいます。通りを渡るところです。目は閉じたままです。車が来てないか、ふりむいて見て下さい。

さあ 目を開けて下さい。

どうですか?お互いを見ていませんか?車はどっちの方向から来るでしょうか。

アメリカではふつう車は左側から来ます。日本では右側から来ます。だから、通りを渡るときには、左右を見る必要があります。このことは大切です。製品やビジネス関しても同じことが言えます。

日本では、通りを渡るときには、左右を見て下さい。
さもないと、車にひかれるかもしれません。
そうして 「日本では ひとい目にあった」ということになるかもしれません。

日本でビジネスをする場合は、アメリカ式と日本式のやり方があることを忘れないで下さい。 日本とアメリカでは、同じように見えることも、実は異なったことをしています。車は同じでも、道路では左右 反対方向に運転します。ビジネス用背広は同じ様なものを着ていますが、ビジネスのやり方は違うのです。

日本とビジネスをするときには、アメリカ流のやり方、日本流のやり方があることを、思い出して下さい。
さもないと、つまずくかもしれません。
そうして 「日本では、ひどい目にあった」ということになるかもしれません。

日本人のビジネスパートナーを持つことをお勧めします。彼らは、日本の言語、文化、慣習を知っています。つまり、一緒に通りを渡ろうとするとき、彼らは、もう一方の方向をチェックできるのです。

ChipChatの日本における成功は日本チップチャット社のディレクター井上悦子に負うところが大きい。ラスベガスは、あまりにもにぎやかで、費用もかかりすぎるということで、今晩は、この席におりません。

同じように見えても、とても異なっていることがあります。
両側を見て、渡って下さい。


日本で成功するための三原則は

  1. きちんと ていねいにすること
  2. ポケットにいつもハンカチを
  3. 通りを渡るときは左右を見る

とても簡単なルールですが、とても役に立つルールなのです。

さて、それでは「具体的にはどうすればいいのか」 と考える人もいるでしょう。

詳細は個々の状態により異なります。今、ここで、それぞれの異なったケースについて、お話しすることは不可能です。

日本で成功するためには、お話ししました三原則を思い出して下さい。どんなときにも、この三原則を当てはめて考えてみて下さい。そしてがんばって下さい。


日本とビジネスをするのに日本語を話せる必要があると思いますか?

その必要はありません。
日本では 英語を話せるビジネスマンがたくさんいます。あるいは、通訳をお願いすることもできます。

私は、いま日本語を習っています。今年の5月に、日本を訪問して、たくさんの友達ができました。いろいろな経験をしました。同じだと思うこと、違うと思うことがいろいろありました。日本に行って、私の考え方、思考回路は刺激を受けました。

日本への旅行はとても楽しいものでしたが、それは知り合った日本人の多くが、ある程度英語やアメリカについて知っていたことのお陰だと思っています。彼らは何年も勉強していますし、私はその恩恵を受けました。

日本では、挨拶するとき おじぎをします。日本語を習い始めたのは、もっと自分の気持ちを日本に近づけて、日本の友人たちに、同じようにおじぎで挨拶を返せたらと 思ったからです。

日本は、大変豊かで興味深い言語、文化そして歴史を持っています。西欧もまた、大変豊かで興味深い言語、文化、歴史を持っています。このことは、どこの国にも当てはまることです。

私は日本語を勉強して、愛するアメリカと同様に、日本の言語、文化、歴史に敬意を払いたいと 思っています。


さて、最後になりますが、

OS/2が、 Windowsに、ほとんど包囲されていることは、、秘密でもなんでもありません。見通しが、非常に厳しいと思う人たちもいます。

私は、私の祖国 スコットランドで実際にあった話を思い出します。 1300年ごろ、当時、スコットランドの王は "Robert the Bruce" でした。しかし、敵国のイングランド軍にとらえられてしまいました。彼は、絶望していました。

独房の中で、彼は、一匹のクモが糸をはいて、巣を張っているの気がつきました。しかし、クモの糸は切れてしまいました。ふたたび、クモは糸をはいて、巣を張り始めました。しかし、今度も、クモの糸は切れてしまいました。みたび。クモは糸をはいて、巣を張り始めました。ついに、クモは丈夫な巣を張って、食べ物を手に入れることができました。

七転び八起き
"Robert the Bruce"はこのクモに勇気づけられました。そして独房から抜け出して、軍隊を組織し、イングランド軍と戦いました。やがてイングランド軍を打ち破り、王位を取り返しました。彼は、死ぬまでこのクモの教訓を忘れませんでした。

現状を打開するために、私達が必要なのは、やる気です。 やれば できる!ということを知ることです。
OS/2は優れた製品です。
素晴らしい会社と人々がいます。
やれば できる!

乗り越えなければならない大きいな壁があります。
この困難を糧に、力をつけよう!

穏やかな海が、腕のいい船乗りを作り出しただろうか?
弱い敵と戦って、勇者が生まれただろうか?
断じて、そうではありません!
挑戦することがあるからこそ、人は力を発揮するのです。
OS/2に突きつけられた難題に、立ち向かっていこう
...全ての知恵と
...全力を尽くして

今晩ここに ご出席の皆さまの ご幸運をお祈りいたします。ここに ご出席の皆さまが、相応の利潤をあげ、新しい友人と出会い、そして他の国々や文化をより理解し、みなさまの人生がより実り多きことをお祈りいたします。

じっくり考えようl!
精いっぱい働こう!
そして楽しもう!


日本チップチャット ChipChat USA

ChipChatはUSA、日本ならびに他の国々での登録商標です。著作権および発行; 1995 ChipChat-USA, Dearborn Michigan USA -版権所有。