平成13年度 高等学校食品技能検定担当者全国会議
日時 平成13年8月6、7日
場所 東京水産大学水産資料館2階
出席者
吉武精(理事長:福岡水産)
赤津豊(顧問:前理事長)
北爪博彦(小樽水産) 金野仁(宮古水産) 雨宮照治(加茂水産)
清水弥(いわき海星) 三浦裕(茨城海洋) 安田健治(銚子水産)
水口聡(勝浦) 松本将史(三崎水産) 金崎浩明(焼津水産)
小俣佳己(焼津水産) 加藤正(三谷水産) 吉田陽(有磯)
森澄実(香住) 吉田康博(浜田水産) 鈴木康夫(宇和島水産)
谷川浩史(福岡水産) 中川哲也(福岡水産) 吉田博文(長崎水産)
堤進(大分海洋科学) 計21名
1.吉武委員長あいさつ
 みなさん、こんにちは。本日は、平成13年高等学校食品技能検定委員会全国会議に多数のご出席、ありがとうございます。
 九州・福岡は、ここ10日間あまり気温35度以上という非常に暑い日が続き、少々夏バテ気味でございますが、東京のこの涼しさには、少々驚いている次第です。
 本来、夏期休業中は、1学期の疲れをいやし、2学期へ向けて英気を養う時期でもあります。しかし、この中には、ここ東京水産大学で一週間ほど前から研修に参加されている先生方もいらっしゃいます。ひきつづき、会議への出席、誠にご苦労様です。
 ひと言で検定といいましても、多種多様な検定がございます。しかし、本検定委員会は、今回も出席いただいております赤津顧問にご指導、ご援助いただきながら、順調な運営が行われております。赤津顧問には、本当に感謝しております。また、今回出席の先生方をはじめとする各学校の先生方の日頃からの真摯な取り組みにより、着実に成長も続けております。本検定は、これらみなさまのお力添えにより、さらなる発展が期待できると確信しております。
 また、本会議では、昨年にひきつづき、東京水産大学の和田俊教授による講演がございます。多忙の中、講演依頼に対し、快くお引き受けくださいまして、ありがとうございます。そして、明日は同大の石崎松一郎助手による実験実習がございます。先生方、一つでも多くのことを習得し、今後の授業に生かしていただけるよう期待いたしております。
 現在、福岡で全国高等学校総合文化祭、熊本ではインターハイが開催されています。また、先日は愛知県の三谷水産高等学校で全国カッター大会が開催され、猛暑の中、多くの生徒が元気いっぱい頑張っていました。成績も気になりますが、やはり、元気に一所懸命取り組む姿は、見ている方も気持ちがいいものです。私の学校では、「さわやか水高」をスローガンに生徒指導に取り組んでおり、生徒もだいぶ元気がでてきているところです。学校は、元気がなければいけません。全国にあります水産・海洋系の高等学校が今後ますます発展いたしますように、心からお祈りしてあいさつに代えさせていただきます。ありがとうございました。
2.赤津顧問あいさつ
 みなさん、こんにちは。何度もお会いする先生方もいらっしゃいますが、見渡したところ初対面ではないかという先生方もおいでのようでございます。新しい先生方の出席により、さらにこういう場が広がり充実していく上でも、非常にうれしく思っております。
 この食品技能検定も年を重ねるごとに、着実に実績を上げてまいりました。つい先日、水教研の全国大会が三重県で開催されました。私も1年半ほど現場から離れ、また平成15年度から新学習指導要領が適用されることもあり、それについて、諸先生の取り組み等を知っておきたいという気持ちで出席させていただきました。水産食品系は、「求められる水産食品衛生、品質管理についての指導はいかにあるべきか」というテーマで、資料提供・発表があり、その質疑応答の中で、本検定がクローズアップされていたことをうれしく思いました。本検定は、水産食品系の教育を生徒に理解させると同時に、先生方にとっても非常に意義があると言われていました。それは、新任や他の科・コースの先生、例えば、理科や採用後に食品系の教鞭を執ることになった先生方は、本検定のテキスト3冊に目を通していただければ、水産食品系の大まかな授業の内容構成は、かなり理解できるようになると言うことです。本検定には、このような意味合い、価値があります。また、数年前から本会議で行われている研修についても、食品衛生や品質管理、ISO、HACCP等に関する取り組みが話題になっていました。このように、本検定が持つ意義・狙いが、着実に成功し、積み重ねができているなと、思わず拍手をしたくなりました。
 言うまでもなく、本検定を育て支えているのは、ここにいらっしゃる先生方をはじめとする各学校の先生方です。そして、委員長である吉武校長のバックアップ、前任の安田先生や谷川先生といった事務局のお骨折りがあります。吉武校長は体育が専門ですが、海が大好きで、水産教育に対しても非常に理解があり、前向きな先生です。また、事務局の谷川先生には前向きな発想で、数々の企画をたててもらっています。今回の石崎先生の実験も先生の発案で、昨年にひきつづき行われる和田先生の講演ともども楽しみにしています。さらに、ホームページで本検定を全国に広く知らしめようという試みも実践中で、まさに打って出るような政策を次々と行っていくことで、さらなる受検者増も期待できます。
 今や、校長協会の検定の中で最も多い受検者を要する検定に育ちました。吉武委員長をはじめ、2代にわたる事務局の先生、そして各学校で支えてくださっている担当の先生方に心から感謝いたしまして、あいさつにかえさせいただきます。ありがとうございました。
3.事務局より日程説明
4.研究協議
 第3類は、検定試験が7月にあるので、「食品衛生」、「食品流通」に関しては、授業の進度が解説書の内容に追いつかず、たいへん苦労しています。このあたりを考慮に入れて、各科目ごとに必修問題と選択問題を作成していただくか、範囲の検討をいていただければ、進度に関しての対応ができると思います。
 また、受検資格は原則として水産食品系学科に在籍する者となっていますが、ある雑誌ではそれ以外でも受検可能と書いてあります。実際の受検資格は、どうなのでしょうか。
(検定委員の回答)
 科目ごとに必修科目と選択科目を作成してはという意見ですが、現時点でそのような動きはありません。しかし、平成15年度の新課程対応の内容変更作業時に、話が出るのではという印象はあります。 また、受検資格については、水産食品系学科に在籍する者に限らず、一般受検も可能です。以前、鳥取の境水産から、平成15年度より工業や商業高校等と統合するが、水産系以外の学科の生徒でも受検できるかという質問に対し、制限なく受検できると答えました。
(赤津顧問)
 文部省関係については、当初は、文部省指導のもと、認定・後援を得る方向に進んでいました。しかし、校長協会を法人化するためには、2,000万円という資金がなければ、法人や検定の継続性が保障されず、簡単に進めることはできないという経緯があります。現在、政府は法人を切り離そうという動きがあり、各省庁でも検定の認定・後援の数を減らす方向にあります。方針もいろいろあり、受検者が少ないものは認定取り消し、逆に定着して一本立ちできるものは認定を外して行こうということで、新たにお願いしても受け入れてくれない状況です。
 受検資格については、水産食品系に限らず、他の学科の生徒も受検可能です。実際、農業科でも1類、3類は受検できる内容になっています。一般の方も可能ですが、高等学校という冠がついているので、抵抗があるかと思います。

八戸水産(資料提出のみ)
 解説書は、生徒にには理解しづらいようです。ポイントは、太字・アンダーラインで表すなど、もう少し工夫して欲しいと思います。
(検定委員の回答)
 フロッピー原稿なので、できなくはないです。先にやっておくのも一つの手ですが、個人的には生徒にやらせる部分だと考えます。要望が多ければ、検討はします。

 難易度は適当ですが、もう少し出題数を増やしたらと思います。一つつまずくと、合格ラインギリギリか否かという生徒がでてきやすいからです。現に、あと1問か、2問で合格という生徒も結構います。そこで、特に第3類ですが、不合格者のために8月下旬から9月上旬に2回目の検定を実施して欲しいと考えています。もちろん、頑張ったものの残念ながら不合格になった生徒のためにです。もう一度、チャンスを与えて履歴書に書けるように実施して欲しいです。
 また、事務局は現在九州にありますが、今後はどのようになるのでしょうか。
(検定委員の回答)
 他の検定では、年2回実施というものはあります。履歴書に書けるよう、第3類の検定を8月下旬から9月上旬に再度ということですが、要望が多ければ、検討はしなければいけないでしょうが、現実的に難しいと思います。
 事務局については、関東に集中せずに活性化の意味も込めて、各ブロックで分担したいと考えていました。現在の事務局は福岡水産ですが、当時の校長に依頼したところ、優秀な職員が食品流通科にいるので、引き受けようといわれてお願いすることになりました。今後については、まだ何ともいえません。任期は2年です。

 現在、2年生が第1類を受検しています。3年生に第2類を受検させたいのですが、2月受検は教育課程上、日程的に余裕がありません。7月に第2類の検定を実施していただければ助かります。
(検定委員の回答)
 第2類を7月に実施してほしいという要望は、以前からあり、今後の検討課題です。

いわき海星(資料提出のみ)

 食品製造は、本校食品科の核となる科目として位置づけており、1年で2単位、2、3年で3単位履修しています。進度がゆっくりということもあり、第2類の主要な試験範囲である練り製品などの対策がかなり厳しい状況です。
 解説書については、指導上かなり重宝しています。しかし、検定ではそれにない問題が1、2題出題されるので、個人的に負担になっています。検定で頭をひねるような問題を出題されると、生徒が困惑してしまいます。
(検定委員の回答)
 第2類の検定範囲については、以前から検討課題として出ています。平成15年度の新課程対応の内容変更時まで、現行どおり行きたいと思います。各学校によって進度が違う点は、工夫していただくほかないというのが、現状です。

 特にありませんが、意欲にかける生徒への対応に苦慮しています。
 第3類担当者として、解説書の校正ミスが多く、各高校に迷惑をかけております。


 現在、危険物取扱者とガス・アーク溶接、そしてこの食品技能の3つを検定の柱にしています。本検定は、国家試験の様式に準じた形で定着していると思います。解説書は、模擬問題のところに、解説ページが書かれてあるので、自学自習もしやすくなっていると思います。
 また、筆記が苦手な生徒も実技では、器用にこなす生徒もいます。実技試験は、筆記試験とは違い、努力の過程を評価することができ、生徒に意識づけや積極的な学習意欲の動議づけにたいへん有効だと考えています。実際、本検定でやる気を起こし、次の資格にステップする生徒も少なくありません。


 学科改変により、1年生は「水産製造科」から「食品科」になり、女子生徒が大幅に増えました。本検定は希望受検ですが、合格率はそれほど高くありません。いい意味で意義あるものにするため、厳正に実施しています。
 検定問題が、解説書の練習問題と同じ形式で出題されているので、表現を多少なりとも変えた方がいいと思います。

 実技試験の際、白衣を着用させる等の取り組み姿勢を厳正にしたらいかがでしょうか。また、衛生を2、3年時に履修しており、第3類を受検するために補講などで補い検定に臨んでいるので、7月実施は日程的に無理があります。
 進路担当者がボイラーや危険物取扱者に比べると、就職の際、武器にならないといわれていました。しかし、勉強をさせて受検の機会を作るだけでも、十分意義はあると考えています。
(検定委員の回答)
 日程の件は、昨年も出されていましたが、全体の40数校のことを考えると容易には変えられないので、工夫してやってもらいたいと思います。第3類については、徐々に共通理解ができてきました。就職に関連しているからこそ7月に行うので、進路が決定すればなかなか受検はしないと思います。
 進路にとってどれだけプラスになるかは、非常に未知数です。認可されるまでは、ほとんど役に立たないかもしれませんが、生徒たちに目標や意欲、興味・関心を持たせる等、議論の中で確認されています。また、就職試験で本検定について質問されたという生徒もいます。そこで、きちんと説明できれば、面接官にうまく印象づけることができると思います。決して、無駄ではありません。
 また、ボイラーや危険物は業務独占資格であり、ある程度の技術や知識レベルを保障するもので、本検定とは比較対照になりません。

 第3類の検定が実施される7月は、定期考査もあり、生徒にとってはかなり負担でたいへんのようですが、希望者のみの受検で向学心に燃えているので、合格率は高いと思います。
 本検定は、企業にアピールできるという段階ではないと思いますが、やる気を起こさせる意味では、十分価値があると思います。


12富山海洋(資料提出のみ)

 
本校では検定対応の授業により、合格率は80〜90%ですが、そのうち30〜40%はカンで書いているという者もいます。そこで、筆記試験は択一問題に加えて、記述や論述試験などを実施したらと考えます。
 解説書については、第1類の魚の絵があまりにも不鮮明だと思います。おさかな大辞典等の点描に変更したらいかがでしょうか。
 また、本校がある滑川市の水産関係の従事者は、卒業生が6、7割を占めていることもあり、就職におけるこの検定の理解度は高いと思います。全類合格して、一人前という見方をしている会社や、面接で内容を問われることが、ここ数年多くなってきています。
(検定委員の回答)
 大辞典等からの引用は、著作権が絡む問題で難しいところです。不鮮明なものは、検討課題とします。また、点描などの資料提供をお願いします。

14境水産(資料提出のみ)
 今年度が初受検で、第3類を試験的に実施しました。筆記試験については、優秀な生徒を指名して受検させたこともあり、20分で終了しましたが、択一だけでなく記述問題も取り入れた方がよいのではと思いました。また、実技試験は時間がかかりすぎるので一種類が妥当ではないでしょうか。
 解説書は、理解力の低い生徒については、図解がよいので、第1、2類のように図を使った説明を取り入れたらいいと思います。
(検定委員の回答)
 実技試験は、時期は問いませんので、通常の授業で実施されてもかまいません。要は、できるかできないかの問題です。

 第3類の筆記試験では、「食品衛生」と「食品流通」が選択問題になっていますが、両分野とも評価した方がよいと思うので、必修にしたらどうでしょうか。
 解説書については、「問題集」の出題順を「解説書」の順にあわせるか、または全くランダムにするか、決めて編集したらいいと思います。そして、できれば解答をつけてほしいです。
 また、P18〜P23までのHACCPについては、ポイントがわかりづらく、生徒も混乱すると思うので、簡素化できる点はした方がいいと思います。
(検定委員の回答)
 選択問題については、「食品流通」を履修しない学校もあり、必修にはできません。
 解説書の出題順については、検討していきます。また、問題集に解答をつけないのは、まず生徒に調べるということをさせる狙いがあるからです。
 HACCPについては、まだ教科書ができておらず、わかりやすい参考文献もないのが現状です。唯一、缶詰協会の冊子にGMPという製造をするための工場基準と一般的衛生管理プログラム(SSOP)で衛生的に取り扱うことが基準としてマニュアル化されているところがあります。それを読まれるとかなり理解できるのではないかと思います。

 第3類は、水産食品科生徒全員受検のため、授業で検定の勉強をしていますが、短期間のため筆記問題中心になり、特に衛生分野はなかなか実技まで手がまわらないのが現状です。
 検定の形式は、生徒の実力を考えると、現状維持が適切だと思います。


 事務局として、たいへんご迷惑をかけております。
 事務局は、締め切り等について時間的制約が少ないという利点もあります。今後、事務局を引き受けたいといわれるところがあったら、立候補してください。
 検定試験は、問題自体が練習問題とほぼ同じなので、「考える」、「想像する」といったことがなく、ただの「暗記」となっています。記述問題や練習問題にない問題の出題も検討してはいかがでしょうか。
 実技試験については、備品購入のための購入理由として本検定を使わせてもらっているので、3、4年間は同一問題にしていただきたいです。高額の備品については、複数年で購入というケースもあるからです。


 解説書は、授業の副教材として利用できるように、第1、2類は2学期初めに、第3類は1学期初めに発送していただけたらと思います。
 また、インターンシップで例えば百貨店へ行き、包装などの実地体験した生徒は、実技試験を免除できたらなと考えています。


【事務局より】
 上記のようにテープおこしにより、議事録をまとめました。しかし、レコーダ不良のため、聞き取りにくい箇所もあり、発表内容と若干違いがあると思います。ご了承ください。
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