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日時 |
平成14年8月1日 |
場所 |
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出席者 |
加留部征男(理事長:福岡水産)
赤津豊(顧問)
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北爪博彦(小樽水産) |
鎌田美津子(海洋技術) |
清水弥(いわき海星) |
橋本博(茨城海洋) |
安田健治(銚子水産) |
水口聡(勝浦) |
星野謙治(三崎水産) |
小俣佳己(焼津水産) |
加藤正(三谷水産) |
新鞍誠(有磯) |
葛城隆継(浜田水産) |
星川正文(多度津水産) |
鈴木康夫(宇和島水産) |
谷川浩史(福岡水産) |
五十嵐康二(福岡水産 |
吉田博文(長崎水産) |
山崎加与美(海洋化学) |
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1.加留部委員長あいさつ
本日は平成14年度高等学校食品技能検定全国会議にご出席頂きまして誠にありがとうございます。今年は九州は台風に恵まれまして、その影響もあってか日頃暑い日が続いております。東京はどのような具合かと思い実際に来ましたら、それ以上に暑く吃驚しております。本来ならば一学期の疲れを癒し、二学期に向けリフレッシュしなければならない時期だとは思いますが、この暑い中、会議にご出席いただきまして本当にご苦労様です。私も四月から福岡県立水産高等学校に赴任いたしまして、水産高校というのは初めてで勉強不足なところも多いですけれども、色々な会議に出席させていただきまして、様々な検定がたくさんあります。その中でもこの食品技能検定委員会は赤津顧問にいろいろなご支援ご指導いただきまして、順調な運営が行われております。赤津顧問には非常に感謝をしております。また、今回ご出席下さる先生方をはじめ、各学校の先生方が日頃からの真摯な取り組みによって、着実にこの委員会が成長していると思っております。このこともみなさまのお力添えにより更なる発展ができると確信しております。また本会議では東京水産大学の石崎松一郎先生、嶋倉邦嘉先生の両名にはご多忙中にもかかわらず講演、実験実習の依頼に対して快くお引き受けいただきまして厚く御礼を申し上げます。また、今日、明日と東京水産大学において石崎松一郎先生による講演と、嶋倉邦嘉先生・石崎松一郎先生のお二人による実験実習のお願いをしております。先生方は一つでも多くのことを修得して今後の授業に活かしていただけるようにと期待をしております。
話は変わりますけれど、先日愛知県の三谷水産高等学校で全国高等学校の端艇大会が行われました。来年、福岡県が主催するということで視察に行って参りました。非常に暑い中、倒れはしまいかと思うくらい暑い中でしたけれども、生徒達は元気いっぱいに一生懸命に端艇大会に取り組んでいました。また、三谷水産高校の先生方もはじめ、生徒諸君も非常に協力して盛大な端艇大会が行われました。全国の水産高等学校が今非常に危機に立っている時期でありますけれど、この姿を見まして、まだまだ捨てたものじゃないな、というふうに私も思っております。今後とも全国の水産・海洋系の高等学校がますます発展するように願っております。以上を挨拶に代えさせていただきます。
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2.赤津顧問あいさつ
こんにちは。長年みなさんとはよくお会いしておりますので、旧知の間柄ですので非常に話し易いのですけれども、冒頭に加留部委員長から過分なお話を頂きまして誠にありがとうございます。さて、思い起こせば、ここに何人かの委員の先生方がおられますけれども、平成8年にこの検定を立ち上げるにあたって、6名の先生方とこの東京水産大学の4階の会議室をお借りして和田先生に顧問と指導を頂きながら立ち上げたという記憶が蘇って参りました。それが先生方のご協力もあっておかげさまで、立派に育ってきております。全国水産高等学校校長協会の検定の中で、最も多くの生徒が受験する検定となりました。このとは本当に一重に育てて下さった各校の先生方、それから事務局の先生方のご協力があってこそだと思います。加留部委員長、また、前吉武委員長はいずれも元気で、といいますのもどちらも体育系のご出身でして、ですから、活力、勢いのある校長先生方に委員長をして頂きまして、その勢いを大いに反映しております。ただ最近水産高等学校に勢いがない、校長会に行きましてもどうも萎れてしまうような話ばかりでして元気がない、もっと元気を出さなければいけないということを言われてきまして、私自身も理事長をやっていたときにこのようなことばかり思っていましたので、ご存じのように次から次へと攻めだという施策をやってきたと思うのですが、状況が苦しければ苦しいほど、その中で勝ち抜いてゆくという力強さ、これはやはり内から沸き出して行かなければならない、外から求めるという状況ではまるでありません。全国にはいろいろと規模縮小等の話がありますけれども、幸いにして食品系については縮小等の状況はあまりありません。他と一緒になることはありますけれども、いずれにしろ無くなると言うことはありません。最後に残るのはやはり「食」です。食べると言うこと、これが無くなったら人間生きていくことができません。そういった意味では強みを持った教育内容ではないかと思います。だから食品系の教育に携わっている先生方はより自信を持って頂きたい。なお、前回も言いましたかもしれませんが、この食品の技能検定に新たな生徒のコンテスト等の企画を打ち出してみても良いのではないかと思います。工業・家庭・農業にはそれぞれあります。水産も生徒研究発表大会がありますけれども、あとは意見発表、これは書類審査です。いわゆる検定的なもので全国の協議があるものが残念ながらありません。そういったようにこの食品が先端を切って行ってみてはいかがなものかなと思っております。現時点で立ち上げて運営するには多くの問題があろうかとは思いますが、是非、根っこの大きな柱である水産・海洋食品から勢いの弱くなっている水産・海洋教育に息を吹き返していただけるような取り組みをしていただければ、なおこの検定も発展するのではないかと思っております。そういったお願いをしながら今日、明日の会が先生方にとって活力となるように願っております。また、昨年に引き続きまして、石崎先生が引き受けていただきまして、このように力強い水産・海洋教育を背負っている大学の先生もいらっしゃいますので、是非その勢いなども吸収されて各学校にお持ちいただきたいと思います。以上で挨拶に代えさせていただきます。
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3.研究協議(質疑応答) |
1.北海道立小樽水産高等学校 |
筆記試験 |
25問は少ない。できれば50問でも良いのでは。 |
実技試験 |
適切である。 |
解説書 |
授業の進度が追いつかなかったが、選択問題でおおむね改善された。
3類の食品衛生・食品流通の両方とも2種類の選択問題を作ってほしい。 |
その他 |
@新学習指導要領になってからの分類はどうなるのか。
A新しい検定があれば面白いのでは。例えば遊びの要素の入った検定はどうか。 |
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(検定委員の回答)
筆記試験:10月の検定委員会で検討する(谷川)。
その他 :@来年度以降順次組み替えていく(谷川)。
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2.秋田県立海洋技術高等学校 |
筆記試験 |
解答用紙をマーク式にしたらどうか。 |
実技試験 |
良い |
解説書 |
良い |
その他 |
― |
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(検定委員の回答)
筆記試験:10月の検定委員会で検討する(谷川)。
簡便な方向はとらない方がよい(赤津)。
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3.福島県立いわき海星高等学校 |
筆記試験 |
なし。 |
実技試験 |
なし。 |
解説書 |
難しい。 |
その他 |
合格率アップを目指す。 |
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4.茨城県立海洋高等学校 |
筆記試験 |
なし。 |
実技試験 |
なし。 |
解説書 |
HACCPについて難しいのではないか。 |
その他 |
新学習指導要領での分類
HACCP研修について。 |
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(検定委員の回答)
その他 :研修については落合先生にHACCPのことを説明済み。大日本水産会が濃厚ではないか(谷川)。
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5.千葉県立銚子水産高等学校 |
はじめに:校正ミスのお詫び
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筆記試験 |
― |
実技試験 |
― |
解説書 |
― |
その他 |
1,2年生は解答の丸暗記で終わってしまうため、今後のやり方を考える。
履歴書に書いたが面接でこの資格の説明ができなかった。
HACCPについての認識不足が心配。講習会が望まれる。 |
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6.千葉県立勝浦高等学校 |
筆記試験 |
問題が少ないため、多くしてはどうか。2月の試験は3年には遅いのでは。 |
実技試験 |
3類と期末試験が重なるため実技試験を行う時間的余裕がないため結果がでていない。6月に実施してはどうか。実技試験を2つから1つにしてはどうか。 |
解説書 |
非常に見やすい。 |
その他 |
− |
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(検定委員の回答)
試験:2月の試験は全類合格のためにおこなっておるため、各学校で努力をお願いします(谷川・赤津)。
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7.神奈川県立三崎水産高等学校
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筆記試験 |
間違いを少なくしてほしい。 |
実技試験 |
年2回受験は時間がとれないため1回でよいのでは。 |
解説書 |
3類のテキストが図が少ないのでは。HACCPについてはよいのでは。 |
その他 |
HPがわかりにくい。その中に保護者に向けたわかりやすいアナウンス文を作ってほしい。 |
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(検定委員の回答)
HPについては夏休み中に更新する予定。
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8.静岡県立焼津水産高等学校 |
筆記試験 |
− |
実技試験 |
− |
解説書 |
− |
その他 |
再受験の時のテキストを無くし、その分検定料を下げてはどうか。 |
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(検定委員の回答)
テキスト代込みの検定料のため今のところ無理である(谷川)。今後の検討事項。
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9.愛知県立三谷水産高等学校 |
筆記試験 |
良い。 |
実技試験 |
実技試験免除制度を利用しているが、愛知県では技術検定試験を行っており丁度時期が重なるため、2科目を1科目にしてほしい。 |
解説書 |
良い。 |
その他 |
― |
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(検定委員の回答)
検討事項は10月の委員会で(谷川)。
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10.富山県立有磯高等学校 |
25問で検定料は高いのでは。毎年解説書を変えず一冊にまとめてはどうか。そして、別に問題を作ってはどうか。
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(検定委員の回答)
検定料金について説明(谷川)。
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11.島根県立浜田水産高等学校 |
12.香川県立多度津水産高等学校 |
3類の実技試験について1科目のみ選択ができないか。
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13.愛媛県立宇和島水産高等学校 |
試験後の合否の判定が問題になる。
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14.福岡県立水産高等学校 |
15.長崎県立水産高等学校 |
60点代の生徒に対して再テストを行ったが、全類受験する生徒が再テストを期待している。実技試験は備品購入のため同じ内容の実験を続けてほしい。
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16.大分県立海洋科学高等学校 |
4.今後の取り組みについて
以上の検定事項は10月の検定委員会で取り上げたい。
今後の取り組みとしての連絡。今年からメールアドレスを変更し、使いやすくなったためメールの利用をお願いします。電話・FAXでは捕まらないため。1月にも検定委員会が行われるため、検討事項等ありましたらメールでお願いします。
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5.その他協議を要する事項
◎今後、より重要となってくる食品管理の部分(HACCP)を独立させたら、家庭・農業にも拡大できるのでは。食品等のプラント会社の施設・設備は充実しており、各校でも問い合わせてみたらどうか。
◎生徒が魚の取り方、種類がわからない生徒が多い。本校では3航海を2航海に減らす方向であり、あまりの1航海をうちの科(食品+栽培)に乗船実習を行わせ「とる漁業」を実施させたい。軟弱な生徒が多いため必要。
水産基礎の中に基礎実習がありそのなかに体験実習がある。これにどのくらいウェートを乗せるか、各校によって取り組んでください(赤津)。
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最後に赤津顧問から
先生方いろいろご意見を出してくださり、本当に熱心なことと思います。事務的なことは後ほど検討していきたいです。大きな部分で原点を見つめ直すという意味もありますので先生方の話を聞いて思い出しましたが、この検定が授業支援型ということを何人かの先生方がおっしゃっていましたが、このことはこの検定を作るときの一つのビジョンでした。資格というのはボイラーとか海技師などの業務独占資格をどうしても考えがちです。そうではなくて能力を認定する資格、これはいっぱいあります。英語検定、漢字検定や調理師などもそうです。そのような資格を取っていなくてもできます。だから、この検定は能力を認定する資格である。そういう風に理解していただかないと、非常に多いのですが、「この検定をとってなんになるのだ」という意見がでてきます。これはこの資格の捉え方が違います。この検定は能力を認定する資格であります。
もともと、この検定には狙いが4つあります。まず第1番目が、この検定を受けることによって生徒が授業に対して、興味・関心・意欲を増すというその一つの手だてにしようという狙いです。その学校独自の学校ごとのやり方、生徒の育て方、もって行き方があるはずです。非常に厳しくして絶対合格点に達していなければ駄目だというやり方で検定にウェイトを持たせたり、あるいは生徒をそこまで引っ張ってくるやり方もありますし、逆にそこにワンクッションおいて、子供たちに柔軟に対応して、そこから子供たちを引き上げていくというやり方もあるでしょうし、これは学校全体としてのどういう育て方をしているのか、あるいは子供意欲レベル、能力レベルいろいろな問題があると思います。だから、この検定をとにかく活用して、そして、水産の教育に役立てるということをまず第一に目標におきます。
第2番目としては、進路の実現に少しでも手助けをしてやろう、役立たせようという狙いがあります。第3類の検定を7月に行うと言うことはかなり無理なことはわかっています。1年であろうが7月に行うのです。なぜかというと3年生が9月に就職試験に行くときに生徒達の書類に検定合格というこの文字が入るか入らないかということが、ウェートを持ってくるだろうと当初予測しておりました。事実少しずつウェートを持ってきています。それで、面接の時聞かれるという、この食品技能検定について興味を示すような、企業からの対応がでてきております。このようにはっきり就職にプラスの面もでてきております。今後ともこの食品技能検定はだんだん評価される、社会的に評価されることになってくれば、なおその狙いはより大きくなろうと思います。
第3番目としては、教師の研修、教師の教育レベルの向上にこの検定が少しでも役立てばという狙いがあります。先生方はややもすると実験・実習がだんだん面倒くさくなってきます。私自身も経験があります。先生自身が意欲を持たなければなりません。しかし、実験・実習というものは準備をして後かたづけをしなくてはなりません。子供たちは授業が終わったらさっと帰ります。実習先生の先生が優秀であればかなり助かるのですけれども、実状は大体が自分でやらなければなりません。しかし、そのことが億劫になってくるとだんだん実技というものが疎かになってきます。我々は専門高校ですから、いわゆる実技というものに重点を置いてやっていかなければなりません。それと同時に実技だけではなく、検定のテキストが教科書を補訂している内容や、さらに今後必要だと思われるものも入っています。HACCPが良い例ですけれども、これなんかは自分で勉強していかなければなりません。つまりこの検定から教員が大いに刺激を受けて頂きたいです。
第4番目としては、この検定を利用して、実験・実習設備の足りないものを補ってもらい水産食品製造に関する設備の充実に少しでも役立たせるという狙いです。事実、この検定によってホモジナイザーが予算化されて、ある学校で購入された例もあります。この検定で必要だから是非このような備品をそろえてください。というようなことのかなり強い後押しをすることができると思います。
以上4点の狙いがあります。これらの原点をいつまでの忘れないでほしいです。これが検定の存在意義の大きなビジョンであり、これは忘れられてしまっているのではないかと思います。
次に、実技試験免除制度についてですが、これは確かに大変なことではあるかもしれませんけれども、実技試験での免除制度はいったい何のためにあるのかといいますと、やはり子供たちにそういうものを定着させたいという狙いがありますから、実技試験を行う前にむしろ免除制度がありますから、実習の中でびっしりやっていただきたい。そこで確かにその技術を習得したというふうにもって行かれる方が、なお授業支援型の意義があると思います。だから実技試験の免除ということは授業支援型のあきらかな、明確な一つの現れです。実技試験を減らすことはできるだけ先生方の努力によって克服してほしいことであり、できればなおそのレベルも少しでも上がって行くように頑張っていただきたいです。このことは、結局は社会的評価に繋がっていきますので是非そのことを忘れないでください。
それから、新学習指導要領にともなう内容分けですが、これは平成15年度から実施されます。そこでの新教科は「水産基礎」これは水産一般です。そして、「水産食品製造」、「水産食品管理」それから、流通の部分は水産経済の方と一緒になりまして、「水産流通」となります。しかしこれは食品流通の方がウェイトを締めており、むこうに吸収されたのではなく、食品流通の方に水産経済を引っ張ってきた、というふうに話をまとめてあります。教科書を作っておられる方は多分この中でもいらっしゃるかもわかりませんが、そういった形でできてくるのではないかと思います。その場合にこの検定がどのような内容分けになるのかと言うことが課題になると思います。特に、再三話しにでてきておりますが、「水産食品管理」の内容ですが、これによって第3類の中身がどうなっていくかと言うことがあります。これは教科書のほうは現在まだ取り組んでいない状態です。現在行っているのは「水産食品製造」、来年度に「水産食品管理」の教科書に取り組んで行かれると思います。そのような教科書がどうできあがっていくのか、その辺あたりもにらみ合わせて、検定の2類、3類、場合によってはもう1分類できるかもわかりませんが、このことも考えていかなければならないと思っております。
最後に検定料の問題ですが、昨年度は未払い分が残っていたということの他に、最初はテキストだけで1000円を越していたと思います。そして、カードも結構高いのですが、1枚400円くらいです。そして、校長協会に水産振興資金という各検定からいくらかずつ抽出しています。これは生徒達の研究発表であったり、端艇レースの支援であったり、そういったことの際に関する資金にしている訳です。これは1受験者あたり300円です。以上を足していくと当初はほとんど残らなく、事務局の旅費は学校が出していました。本来このような検定の事務局旅費は検定料の中から支払うべきだと思いますが、当初は全部学校からです。いっさい検定からは出していません。ただ、2,3年まえからは何とか事務局だけはと思っていましたが、先ほどの話では昨年の福岡の場合は特別な配慮をしていただいておりました。そういったことをふまえた上で、このような結果です。実情としては確かに2000円という金額はあると思います。しかし、各先生方、各学校長、各県の努力によってこの検定が運営されているというようなことをご説明していただければ、この金額は決して高くないことが伝わると思っております。
以上大きな点でお話ししておいた方が良いと思ったところを話させていただきました。以上です。
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